部分入れ歯の作り方 その3  -アルタードキャストテクニック-

部分入れ歯の作り方 その3 アルタードキャストテクニック

最後に3回目の印象採得
名称未設定 4_01

模型の上に乗っかているものを(咬合床)を使います。(右下の写真)
3回目の印象を取る理由は、噛んだ時にかかる力によって
歯と歯茎の動き方(沈み方の違い)を補正するためです。
噛む → 入れ歯に力がかかる → 歯茎と歯に力がかかる →
歯茎はひずむ(沈む)/歯も動く(ひずむ)

この歯と歯茎のひずみ方の違いを極力なくそうとする型の取り方です。
上から押されたときに、歯は約0.03mm、歯茎は約0.3mm動きます。10倍の違いがあります。(分かりやすい単位でいくと、1cmと10cmです。10cm動くものと、1cmしか動かないものを繋げようとしたら、くっつけようとしたら、上手くいく訳ないということです)
それぞれの動く量の違いが、噛んだ時に入れ歯が動いたり、歯ばねの架かっている歯に負担がかかる原因になります。

この補正をしてやることによって、入れ歯は動かなくなるし、歯にも負担がかからなくなります。ついでに印象するときに実際噛んだり、飲み込んだりとかしてもらうので、かなり食べているときに近い口の動きにあった形にできるという利点もあります。
実際の手順としては、歯茎の部分を再度改めて印象採得するということになります。

それでは実際の手順を。。。。。。すごく複雑で、手が込んでます。。。。。。
飽きずに見てね。。。。。

 

 

名称未設定 5裏にスペーサーとしての薄いワックスをつけて、咬合床を作る。(通常はワックスは使わない)  写真右

名称未設定 6咬合床を口の中に入れて、かみ合わせを取る。(写真 左)
噛み合わせを取った後、かんだ時に力がきちんと歯茎に伝わるように、
プラスチック(即重レジン)で補強しておく。(写真 真ん中)
同時に咬合床の適合をチェックしておく(写真 右)

 

名称未設定 7咬合床の裏のワックス(ピンク)をはがして、
歯茎の部分に印象用のワックス(オレンジ)をつけていく。
ワックスをつけた咬合床を口の中に入れて、少しづつ噛みしめたり、飲み込んだり、
カチカチ噛んだりしてもらう。同時に縁の部分が噛んだ時に上手くなじむように、術者が頬や唇などを引っ張ったり、伸ばしたりする。この操作を、歯茎と咬合床が完璧になじむまで繰り返す。歯茎を(良い意味で)圧迫しているので、ワックスの面はツルツル、ピカピカになってるし、縁の形も変わってきてるでしょ。。。。。繰り返すことが大事なんだ!!!!!
片方が終わったら、もう片方も同じ操作を繰り返す。(分かり難い。。。。。かな。。。。)
出来上がったら、口との適合をチェック!!!!

ワックスは口腔内位の温度で柔らかくなるような特殊なワックスです。(残念ながら、日本では発売終了になりました。今あるワックスがなくなったら輸入しないといけない( ;∀;))
勿論ワックスなので、冷えれば固まります。(でも慎重に扱わないと、固まった後でも、すぐに変形したり、傷ついたりします)
この印象操作が、すごくテクニカルで、センシティブで、時間もかかるし、難しいです。なかなか言葉では表せないです。しかも、手間と時間をかけてこの操作を行っても、ここを上手く行わないと、逆に全然ダメな入れ歯が出来上がります。。。。。。。怖い( ゚Д゚)怖い

 

名称未設定 8ワックスで印象をしたものを口に入れるとこんな感じ。歯茎と入れ歯の間に全然隙間がないでしょ。

 

ここから、今度は技工作業が待っている。。。。。。出来上がった印象IMG_7090
これをもとに、模型を改造していきます。

名称未設定 9もともとの模型の歯茎の部分を切り取って、

名称未設定 10ワックスで印象を取った咬合床を模型に戻して、石こうを注いで、模型を改造します。
歯の部分は元々あった所で、歯茎の部分だけ新たに付け加えます。
ワックスを触ってしまうと、変形してしまうので、超慎重に!!!!!

 

名称未設定 11出来上がった模型のまま、上下のかみ合わせを再現して(専門的には咬合器に付着して。。。)

名称未設定 12ここまで来たら、ようやく咬合床のワックス等の部分を全部取っ払います。

名称未設定 13これでようやく入れ歯を作る模型の完成です。
そして。。。。。。ようやく、ここからが、本番の入れ歯作り。。。。。。。

名称未設定 14_011回目の印象から作った模型
2回目の印象から作った模型
3回目の印象から作った模型
全然違うのがわかるでしょ!!!! (わかんないかな???)

 

名称未設定 15歯を並べて、口の中で最終チェックして。。。。。。。

名称未設定 16

名称未設定 17ようやく完成。。。。。。

 

歯茎とのあたりをチェックすると(同業者向けで。。。。。)
名称未設定 18左・真ん中 PIP
右 フィットチェッカー

幸いにもこの患者さんは、噛み合わせも含めて、ほぼゼロの調整でした。(自分的にはNO 調整と言っている。。。。。。。(^^♪)
その場ですぐに、お煎餅でもピーナッツでも食べられました。。。。。
(もちろん患者さんによっては調整が必要なこともあります。。。今回は良かった、良かった!!)

 

この印象方法がアルタードキャストテクニックと言います。
自分的には、すごく理にかなった印象採得の方法だと思います。、
そして新しい方法かといえば、全くその逆で、かなり昔に提唱された方法です。(いつ頃かな?)
でも実際この印象方法を行っている先生は、日本中探してもほとんどいないと思います。
また出来る先生も、ほとんどいないと思います。
(似たような方法をしている先生はいるかもしれませんが、、、、ワックスで印象をしている先生は。。。。そしてこの印象の肝は、ワックスを使っているということです。残念ながら他に良い材料がない)
大学病院にいるときでも、この印象方法をやっているのは、自分と自分の師匠だけでした。
また、教科書を見てもアルタードキャストテクニックという項目はあっても、
ほとんど内容が書いてないとか、写真もなくて全然わからないとかいうものばかりでした。

 

見ていただいてわかるように、診療室でも、技工操作でも
物凄い数のステップを踏んで、手間も時間もかかります。
しかも一つ一つのステップの手順をかなり精度で行っていかないと、次のステップに悪影響が出ます。また特にワックスの印象の手順では、上手く出来ていないと逆にダメな入れ歯になってしまいかねないというリスクもあります。(良いか悪いかの判断がすごく難しい。というか初めてだと分からないと思う。)

それでも、きちんと全ての工程を正しく踏んでいくことで、ホントに良い部分入れ歯ができるのです。逆に言えば、ここまで手をかけなければ、良い部分入れ歯は作れないということです。

 

このアルタードキャストテクニックは、
何度も失敗しながら(リカバリーできる程度のネ。。)、工夫しながら、考えながら
自分なりに完成してきたものでもあります。

入れ歯は合わない、食べられないといった、ネガティブなイメージを無くしてもらいたいので
少しでも入れ歯のことを分かってもらいたいので、
長いですが3回に分けて、部分入れ歯作りのことを書いてみました。

入れ歯だから食べられるを目指してます。
美味しくご飯をたべましょーーーーーー!!!!!

 

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